みっと日記

パルクールが好きな人が書く、パルクールが気になる人のためのパルクールメディア。

TEDxHokkaidoUに登壇しました!

2015年10月11日、TEDxHokkaidoUに参加してきた。
なんと、正式にスピーカーとして招待されたのだ。嘘のような話だが、ドッキリではなかった。

場所は北海道大学のフード&メディカルイノベーション国際拠点。産学連携のために作られた最新施設のホールだ。北大のほぼ最北端にあって、周りには草しかない。参加者は120人で、一般人よりも、学生の方が比率は多かった。
 
スピーカー陣は、
スケートボード世界一周のロバート・トムソンさん
・宇宙物理学者のエリザベス・タスカーさん
・日本スポーツ雪かき協会の松代弘之さん
・現役北大生の久保まりなさん
・元バックパッカーの山田智久さん
という豪華な顔ぶれに、私が加わる形だった。何とも恐れ多い。
 
トークは、「パルクールに学ぶ自分との戦い方」をテーマに話した。パルクールだけについて話すのは、正直難しくない。1時間でも、2時間でも話せる。でも、パルクールの話なら、ググれば出てくる。自分にしか出来ない話をして欲しい、とTEDxHokkaidoUのオーガナイザーの重井真琴さんに言われ、自分とどうやって向き合って挑戦してきたかを、ありのままに話すことにした。
 
TEDは、"Ideas worth spreading"がコンセプトのトークイベントだ。派生イベントのTEDxであっても、世界に広める価値のあるアイデアをトークで伝えていくのが、スピーカーとして選ばれた人間の使命。パルクールとは何か?なんて、ほとんどの人達には、どうでもいい。パルクールの存在を知ったところで、ストリートスポーツの1つとして、雑学が増えるだけ。でも、パルクールは、他のストリートスポーツとは、ちょっと違う。パルクールはスポーツですらなければ、競技でもない。概念だ。こんなにめんどくさくて、よくわからなくて、でも世界中で愛されている、世界を平和にできちゃうような概念は、他に聞いたことがない。だからこそ、パルクールのその特異性、面白さ、考え方を一般化して伝えることを選んだ。ただ跳んだり跳ねたり登ったりしているトレーサーが、どうやって自分達と向き合っているのか。恐怖心をどうやって超えていくのか。その話は、絶対にパルクール以外にも通用する、"Ideas worth spreading"だ。それを伝えたかった。
 
トークの反省点を挙げればキリが無いので、ここでは割愛する。
 
TEDxHokkaidoUという場で、パルクールの話をした。そのインパクトがどれくらいだったのかは、正直、まだ分からない。でも、それ以上に嬉しいことが沢山あった。運営をしていたボランティアの皆さんや、当日参加してくださったパーティシパントの方たちから、頑張る勇気をもらいました、挑戦する気になりました、そんな声を沢山もらった。その場ではさらっと返事をしていたけれど、本当は、内心、かなり嬉しかった。
 
パルクールとは何なのか?なぜパルクールをやるのか?を考えるのは当たり前だ。じゃないと、孤独極まりないパルクールと人生を一緒にすることなんてできない。ここで躓いて、多くのトレーサーがパルクールをやめていく。でも、そこからさらにもう一歩踏み込んで、なぜ、あまり感謝もされないしお金にもならないのに、自分はパルクールのために頑張るのか?について、考えなければいけない。納得感が無ければ、パルクールを支える立場の人間は、孤独に負けて、モチベーションが落ちて、潰れていく。日本のパルクール業界に、指導者やサポーター的立場が少ないのは、これが理由だと思う。
 
私には、2つの使命があると思っている。
 
1つは、パルクールをこの国に普及させること。それは、JPAのミッションで、「気軽に誰もがパルクールを楽しめる日本を作る」として、ずっと掲げている。
 
もう1つは、この国の若者たちの挑戦を、とにかく後押しすること。やりたいことがあるけれど、失敗するのが怖いだとか、どうすればいいか分からないだとか、そういう話が来る度に、後押しするどころか、背中に飛び蹴りをする勢いで、いいからやれ、行って来い、なんとかなるから、と伝えてきた。やりたいことが分からないなら、100人に会って、本を読んで、旅に出ればいい。どうやればいいか分からないなら、とりあえずやってみて、飛び込んで、失敗して、また挑戦して、やり方を身につければいい。最初から何でもできる人間なんて一人もいない。一歩を踏み出した人間が沢山いるだけだ。彼らに必要なのは、ほんのちょっとの後押しと、一歩を踏み出す勇気だけ。だから私は、挑戦する人を応援し続けたい。それがこの国の将来のためになると信じているから。
 
TEDxHokkaidoUに出て、本当に良かった。まさに、私の使命をそのまま言葉にしたようなトークができた。オーガナイザーの重井真琴さん、運営チーム・ボランティアの皆さん、何度もプレゼンの練習に付き合ってくれたSPKのRyu、動画の撮影に尽力してくれたSPKのメンバー、そして、当日会場に来てくださったパーティシパントの皆さん、ありがとうございました。感謝しても、しきれません。
 
やっと、土俵に立った気がする。
もっともっと、日本を、盛り上げていきたい。
 
※トークの動画は、TEDxTalksにアップロードされ次第、このブログにも掲載します。